森林浴の健康効果
自律神経を整える
私たちの身体の様々な働きは、意思とは無関係に自律神経に調整されています。
自律神経は大きく2つに分類でき、交感神経はストレスや緊張時に活性化して身体を活動モードにする役割を、副交感神経は、リラックス時に活性化して心拍を低下し、消化を促進し、身体を休息モードにする役割を担っています。
心身の健康維持には交感神経と副交感神経がバランスよく働くことが大切です。ストレスフルな状態、つまり交感神経が過度に優位な状態が続くと、心身に不快な症状として現れはじめます。
森林浴には副交感神経を優位にする効果があります。
心拍数を低下し、血圧を安定化して安眠効果を高めます。


ストレスの軽減
交感神経を活性化するアドレナリンやコルチゾールなどのホルモンは、ストレスホルモンとも呼ばれます。
樹木がは自分の身を外敵から守るため放出するフィトンチッドと呼ばれる揮発成分を浴びることはストレスホルモンを減少させます。
また日光を浴びることや、適度な歩行運動は、ストレスホルモンの分泌を抑制するセロトニンの分泌を促進します。
気分の改善
森という非日常空間に身を置くことには気持ちをリセットする効果があります。
また感性や想像力に心が動く瞬間のわくわくには気持ちを前向きにする力があります。
巨樹の前で「この樹が大きいのか私がちっぽけなのか…」とつぶやいた人がいます。
森には自分を客観的に見つめたり、視点を変えて物事を考えたりさせてくれる力があると、私は思っています。


免疫機能の向上
ウイルスに侵された細胞を攻撃したり、がん細胞を攻撃したりする大事な白血球の一種にNK細胞があります。
約2時間の森林浴をすることでNK細胞が活性化し、その効果は30日間持続することが分かっています。
つまり月に一度、約2時間の森林浴をすることで、常に高い免疫機能を維持することが期待できます。
身体の声に耳を傾けて
とはいえ、私たちが森に惹かれるのは、健康効果だけが理由ではないはずです。
なぜ私たちは、巨木や滝のしぶきに、神々しさや畏敬の念を抱くのでしょうか。
ふと見上げた街路樹の緑に、ほっとするのはなぜなのでしょうか。
それはきっと、私たちのDNAに「森とともに生きてきた記憶」が刻まれている証。
進化の歴史のほとんどを森で過ごしてきた「ヒト」という生き物の視点で見ると、
現代の暮らしはとても不自然で、その利便性の裏側でどこか無理をして適応しているのかもしれません。
土に触れたい、風を肌で感じたい・・・。そんな身体の声に気づいたら、
森に出かけて、日常で閉じてしまっている「五感」をそっと開いてみませんか?
見ているつもりで見えていなかった森の姿に気づき、
聞こえているようで聞いていなかった森の音を聴く時、
森の静けさは心に語りかける声となり、
木漏れ日は、乾いた心を優しく包んでくれることでしょう。
飛騨の森は、いつでもあなたを待っています。